純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

恐怖と嫌悪の旅もここまで。『ラスベガスをやっつけろ』

60年代にサヨナラを!というヒッピーカルチャー狂い咲き(要するにドラッグ)映画なのだと思うが、テリー・ギリアムのゴテゴテ面白画面がふとした時に本当に映画全体がシラフになったような雰囲気を漂わせてドキッとする。多分これはカメレオン俳優ジョニー・デップの(今回もハゲ頭サングラスという異様な風貌ながら)素の状態がもはやわからなくなってしまうような演技力の向こう側を見てしまったような気持ちになるからか。一貫してジョニー・デップ視点が貫かれるのもデルトロの相棒感(最終的には「神の作った試作品だ」とまで語られる)を高めてて良いし、二人が交互にトリップしたり戻ってきたりするのも面白い。いやしかし、終わり方が最高だったな。テリー・ギリアムらしい時系列ズラした引っかけが効いている。ジョニー・デップは最後あの荒れ果てた部屋でタイプライターを打ち続けるしかないのだろうし、同時に荒野を吹っ飛ばしてもいるのだ。今思ったけど、それって完全にケルアックの『オンザロード』ってことだな……トリップ映画のど真ん中ストレート。