純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

ウテナであってウテナでない『水星の魔女』

 人生で初めてガンダムをリアルタイムで追うことができて、本当に充実した数ヶ月を過ごすことができた。ウテナも大好きだし、『ガンダム』というコンテンツでこんなに新しい物語が紡げるのかという感動があった。一方で女の子二人のエンパワメント(完璧すぎる第一話)からどんどん大人が武力と権力をもって介入し、「会社設立」という形で子供たちが一矢報いようとするものの、なすすべなく地球とコロニーとの戦争へと雪崩れ込んでいく……というシーズン1は同性婚などの「今の私たちの物語」とウクライナ侵略戦争を想起せずにはいられない、戦争を描く「これまでのガンダムの物語」がどちらも鬩ぎ合っているようで、非常に熱中しつつ、どこか複雑な思いもあった。

 今回はこのような形で(まるでエヴァンゲリオンの旧劇場版みたいな)あまりにショッキングな幕切れを見せつけられて、「ここまでする必要が果たしてあったのか」という思いも拭えないけど、見届けたいと強く思う求心力を持った作品だった。関係ないけれど、IGN JAPANのポッドキャストでは近藤銀河さんが「魔女と身体の拡張」の関係性について、中絶などの女性の身体の決定権を行使することが魔女であるとされた歴史や『テンペスト』に登場するプロスペローなどについて語っており、そういった文脈においても考え抜かれた脚本であったのではないかと思う。

 あと、第一話とプロローグとYOASOBIの主題歌「祝福」とその主題歌のノベライズを同時公開するメディアミックスの強度も非常にインパクトがあった。たしかに、今思えばあそこで不安の種は撒かれていたともいえるが……シーズン2が放送される4月まで、閃光のハサウェイと並行して『MS08小隊』や『∀ガンダム』を観れたらいいな。