純粋なのは不死ばかり

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国立新美術館で徐冰監督の『とんぼの眼』を観てきました。

f:id:is_jenga:20240602111726j:image 国立新美術館の企画展『遠距離現在 Universal / Remote』で鑑賞。この企画展自体なかなか楽しかったけど、この作品を観るだけでも元がとれると思った。監督……というか芸術家である徐冰(シュ・ビン)さんは40年近いキャリアでこれが初めての映像作品だとか。

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 中国中の監視カメラの映像だけで作り上げた80分の映画ならぬ映画。中国は2015年から監視カメラの映像がネットで誰でも見れるようになったらしく(しかし監督はそれ以前から映像を集めていたらしい)、解説によれば20台のコンピュータで11,000時間の映像を集めたとか。監視カメラの映像は本物しか流れないが、脚本や台詞は監督が考えたもの。わりとビックリするようなラブストーリーになっていて凄かった。カメラを持つ人間がいるドキュメンタリーよりもどこか業が深く感じてしまうのが不思議。というか、業とか罪悪感を容易くこの"現実"でしかない映像に物語として埋め込むことではじめて自分がこの映像を受け入れることができていたのかもしれない。交通事故の映像とかもかなり挿入されるので、その辺は注意が必要かも。でも、チャップリンの「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」じゃないけど、どこかおかしみが漂って来てしまうのがやっぱり恐ろしい。何かの実験に参加しているような気分にもなった。まさしく人ならぬ「とんぼの眼」を体感する。

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 日本科学未来館で観たアピチャッポンのVR作品も面白かったけど、映画館の外に現れる不思議な映画も色々観ていきたい。この企画展の会期は明日までですが(もっと早く書くべきだったとは思う)、とてもおすすめです。

遠距離現在 Universal / Remote | 企画展 | 国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

監視カメラの映像だけを用いた劇映画 中国の現代美術家の初監督作「とんぼの眼」 : 映画ニュース - 映画.com