純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

一年間彼らと過ごすこと。『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

人生初の戦隊シリーズ完走が『ドンブラザーズ』で本当に良かった。あまりにも評判がいいので、放送も折り返した昨年末から見始めて(たまたま友人の家に泊まった後の日曜の朝にクリスマス回の41話「サンタくろうする」を見て大爆笑して見始めた)、完走する頃には『キングオージャー』が始まっていたけれど、最後はもう切なくて切なくて……普段絶対しないのにロスが強すぎて見終わった後出演者たちのインスタをフォローしまくった。

後半はもうずっと良かったんだけど、第一話からノリノリでジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』のオマージュ(というかまんま)をやってくる脚本がまともな筈がなく、五人がお互いにその正体を知るのがシリーズ後半というのもかなり異常。しかし脚本の井上敏樹(さすがに覚えた)の腕のノリっぷりは本当にやばく、全話驚異のテンポ感とギャグの密度で突っ走っていく。物語の核となっている人物だけど、自分が一番好きなのは「黒」の犬塚翼で、あいつの可愛さとしょーもなさがとってもキュート。しかし全体を通してみたときにドンブラザーズ宇宙をつらぬく屋台骨はやっぱり桃井タロウと鬼頭はるかだったと思う。この二人が競い合うようにコメディリリーフ(というか全編そんな奴らしかいない)として走り回る姿を観るのは本当に幸せな半年だった。

そして物語をつらぬいていない方の屋台骨(マジで愛してる)が脳人の三人。クリスマス回を先に観てしまったので仲良くなることはわかり切っているのだが、それだけに序盤からドンブラザーズと微妙な距離感で相対していく展開はニコニコしながら見ることができた。みんなでおでん屋の屋台に集まる最終話とか、泣いちゃうよね……ただちょっと、桃井ジロウの展開にはかなりハラハラさせられて、ちょっと可哀そうすぎる立ち位置に見えて結構つらかった。最後の方も救済が描かれていたとは思うけど、「あの村」とかも怖すぎて冷静に見ていられなかったな……しかし好きです、大好きです。はるかが最後に漫画としてこの世界を語り直していくラストも美しいと思った。

f:id:is_jenga:20230628083548j:image