純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

読んでいる僕はどこにいる?熊倉献『ブランクスペース』

熊倉献『ブランクスペース』最終3巻読み終わった。とっても満足いくラスト。現実の暴力に苦しむ彼女が生み出してしまった「空白」がやがて誰のものでもない物語になっていく。素晴らしいのはその見せ方で、僕らは「空白」に意味を見つけ出してしまうし人によ…

小説(他世界)との幸福な関係。『ファンタジスタドール』

野崎まどの前日譚小説『ファンタジスタドール イヴ』を先に読んでからアニメ本編を観るというちょっとズレた入り方をした。小説は屈折した青年が大学生活でどんどん歪んでいく反=青春小説かと思いきや、後半はどんどん<質量傾斜実験>にドライブしていく濃厚…

ボーイミーツガールミーツ震災。『すずめの戸締まり』

いままでの新海作品で最も災害と真摯に向き合った作品だと思った。えらそうな事を言えば、作家としての成熟や覚悟を感じた。映画を観ていて途中まではすずめ「が」戸締まりしなきゃいけない話だけど、すずめ「の」戸締まりじゃなくない?と思ったら最後にす…

傷が容易に閉じないことの誠実さ。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

とりあえずエムバク最高!前作にモヤモヤした人なので、王国の傷を開いていくような物語は予想外でゾクゾクした。キルモンガーについてのやり取りもやっと納得できた。でも終盤のアクションはあれなんとかならなかったのかな……中盤のチェイスシーンとか最高…