純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

2024-01-01から1年間の記事一覧

文学フリマ東京38に参加してきました!

大學の研究会のまだやりたりない人たちで立ち上げた掌編小説読書會、文フリに参加するのはこれで四回目なんですが、去年は自分が売る側であまり出られなかったり、欲しい本が根こそぎ売り切れてたりしたので、今回はリベンジのような気持ちでフル出場できて…

5/19の文学フリマ東京38に出店します!

告知がギリギリになってしまいましたが、今週末5/19の文学フリマ東京38に出店します! ブースは「ち-43」です。今回は作品を出せる同人が少なかったため、僕が小説もエッセイも映画評も書いているのでこれまでの冊子よりちょっと照れくさいところがあります…

圧倒的なものに触れる。『悪は存在しない』

悪は存在しない、映画の言語化不可能性を存分に味わえる映画だった。すべてのショットと台詞がラストに結実していく。最後の森を人々が(まるで葬列のように何かを受け入れながら)歩いている場面で自分の脳裏にずっと「20年に一度の山火事が、10年に一度、5年…

時間蠅たちは、矢がお好き

多和田葉子の小説が好きだ。 去年は四冊くらい読んだのだが、急にもったいない精神が発動して今年は読んでいなかった。しかし去年多和田葉子はいいぞと散々勧めていた友人から勧めていたのとは別の(多和田葉子の)本を読み始めたよ! と連絡がきてなんだかモ…

ターセルス・ミルーリア・ダ・パーゴ……『王様戦隊キングオージャー』

『王様戦隊キングオージャー』、完走してしまったよ……去年のドンブラザーズから戦隊見始めた者としては超王道のエモさとアツさの塊みたいな作劇に並走していくような50話だった。日本の特撮ドラマで本当にMCUのエンドゲームみたいな終盤の決戦を作り上げたこ…

世界を滅ぼす確率に目を瞑る。『オッペンハイマー』

やっと観に行くことができた。観る前はかなり緊張していて、原爆を扱った映画としてもノーランのファンとしても不安だったのだけれど、観てしまったのちはむしろ興奮は少なく、どこかオッペンハイマーの虚無と絶望が伝わってきたような凪いだ気持ちになった。…

今この世界に必要な二作。『RHEINGOLD ラインゴールド』『美と殺戮のすべて』

今週末は立て続けにすごい映画を2本も観てしまった。自分が最近考えていて、勉強していたこととどんどん繋がっていくし、どれも現代日本の問題と切り離せない。一方で、エンターテイメント作品としての完成度も凄まじい『RHEINGOLD ラインゴールド』は現時点…

ダンジョンに食べられる。九井諒子『ダンジョン飯』

『ダンジョン飯』、とうとう読み終わってしまった。『鋼の錬金術師』や『宝石の国』に匹敵する名作といえば伝わるだろうか。そしてこの作品を読む前の自分はそんなことは全く思っていなかった。タイトルの軽さに惑わされていて、「ダンジョン」で「飯」を食…

憧れのアピチャッポン監督のVR作品とトークを聞いてきました。

日本科学未来館でアピチャッポン・ウィーラセタクンのVR作品『太陽との対話』を体験してきた。 まず最初に見せられる断片的な映像群が紛れもなくアピチャッポンの撮ったバキバキにカッコいいショットだらけで感動した。年末年始にクィア・シネマの講座を受け…

難民問題SFゲームとして。『Citizen Sleeper』

『シチズン・スリーパー』、クリアした。『サイバーパンク2077』みたいな硬派な改造人間SFを『ディスコ・エリジウム』ライクの膨大なテキストで読めるという至福の15時間(106サイクル)。難民船団が到着してそれを受け入れるかを問うDLCが骨太すぎて、そこの…

縮こまった肉体に隠された欲望。『Saltburn』

今年観た中で最もエキサイティングで最も面白い……お手本のようなパリー・コーガンの使い方。2時間を通して熱が迸っていくようだった。ロザムンド・パイク繋がりで『ゴーン・ガール』くらい面白いと言えば伝わるだろうか。 バリー・コーガンはもちろん演技や…

観るものの視線も改造する映画『哀れなるものたち』

ヨルゴス・ランティモス監督作品は好きかどうかは別としてどんどんやってくれ!という気持ちになる。 女性の身体についての細かい言及(男達からまなざされる身体でもあるが......しかし)が多く、観ていて『バービー』を強く思い出した(ダンスバトルのシー…

映画はどこからやってくるのか?『瞳をとじて』

映画を観ていて、奇跡というものはこのように起きるのかと感じたのは生まれて初めてだった。生涯でこんな映画体験をすることができるとは。前半こそ、このテンポで169分いくのか……と思って観ていたが鮮烈という他ない「海」が飛び込んできて(あのゴールポス…

記憶を再生する。『ミツバチのささやき』

ビクトル・エリセ監督が31年ぶりに新作を撮ったというので、その前に見返しておこうと思って観た……のだが、映画を観ることは記憶を失ない、忘れていたことを発見することだという体験にまたしても愕然とした(映画と記憶の話は『牯嶺街少年殺人事件』のパンフ…

母語を失うこと。岩城けい『さようなら、オレンジ』

岩城けいさんの『さようなら、オレンジ』を読みました。難民の、移民の、女性たちの、オルタナティヴなファミリーの可能性を描いた一冊。途中からぼろぼろ泣いてしまった。しかし、この物語だって涙で始まり、誰かの涙によって自分の中の心を発見していくの…

女二人でぴょんぴょん跳ねる。『麦秋』

久々に小津の『麦秋』を観たが、こんなに面白かったっけ……もともと好きだけどちょっとびっくりするほどずっと面白い。小津映画はマジでスルメというか、この前東京国際映画祭で久しぶりに観た『お早よう』とかも信じられないほど面白くてず〜っと笑顔になっ…

深海探索SFにしてAIと研究者のバディものでもある。『In Other Waters』

『In Other Waters』クリア。『サブノーティカ』を彷彿とする異星海底探索ゲームだが、その画面の飛び抜けた地味さをどんどん覆す設定と語りの妙!プレイヤーはあくまでかつての親友を探す女性研究者のサポートAIである……という設定から観測者と創造者を巡る…

結婚報告に「おめでとう」と言わない。『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ ——性と身体をめぐるクィアな対話』

森山至貴さんと能町みね子さんの『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ ——性と身体をめぐるクィアな対話』を読みました。いやぁ痛快!そして勉強になる。というか、やっぱり「勉強」の中にあまり入らなかった話をたくさん聞くことができる。 たとえば、森山さんが…

恐怖と魅力の深淵『メトロイド ドレッド』

『メトロイド ドレッド』、去年Switchを購入してから一番のめり込んでいる。ダークソウルに通じるような「彷徨う」快楽が素晴らしい。それもどうしたらいいかわからなくてウロウロしているのではなくて、「恐いけどこっちに行けば何かが見つかりそうな気がす…

カクヨムはじめました。

あけましておめでとうございます。 ずっと小説書いたり読み合ってきた仲間内が実質的に凍結状態になっているので、実験的にカクヨムに作品を置いておくことにしました。キャッチコピー機能に慄いています。 宇宙からの灰(石川ライカ) - カクヨム