純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

旅をしたら世界が散らかる。多和田葉子『地球にちりばめられて』

多和田葉子「地球にちりばめられて」、やっと読み終わった。大好きすぎる!!!多和田葉子は裏切らない。 ドイツやデンマークや南フランスを旅してHirukoがSusanooに出会う話のようではあるが、それが「ハッピーエンド」と呼ばれるような定められた「故郷を…

ケアに満ちた海賊たちの船出。Netflix版『ONE PIECE』

久しぶりに一気見するくらいは面白かった。荒唐無稽な少年漫画の実写化として(『カウボーイ・ビバップ』の反省も踏まえてか)、製作陣がめちゃくちゃ気合いを入れて強度を作ってきたところとそうでないところの差が激しく、これは限りある予算と尺を使ってド…

この本があることがSFである。『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン: 実績・省察・評価・総括』

昨日は株式会社カラー『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン: 実績・省察・評価・総括』を読みました。結構厚いなーと思っていたのにどこかSF作品世界の内部文書を読んでいるような奇妙なフィクション感があり(内容は極めてデータ主義の事実の評価で構成さ…

凄まじき寂寥。いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』『花の雨が降る ROCAエピソード集』

眠れないのでいしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読んだ。止まらなくなって一気読みした。もう眠れない。いしいひさいちのいつものゆるゆるギャグ四コマで進んでいく二人の女子高生の日常がどんどん飛躍し、離れ離れになり、ラストの切なさ…

あっけからんとした文章と戸惑い。金川晋吾『いなくなっていない父』

金川晋吾『いなくなっていない父』成田空港までに読みおわった!いま読むべくして出会った本な気がする。この本を読む確固たる理由はないままに(そしてそういう曖昧さに負けてよく読みかけの本を積んでしまう)、ただ気になるから読むというのができた。電車…