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微細な攻撃『アメリカン・ボーン・チャイニーズ 僕らの西遊記』

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休日に久しぶりに海外ドラマ観るか〜とDisney Plusで一話再生したら面白くて一気見してしまった。今見るべきドラマだし、今見れてよかった。『シャン・チー』『私ときどきレッサーパンダ』『エブエブ』に連なる、アメリカに生きるアジア系の若者たち、家族たちへの贈り物のような作品。そして「西遊記」映画でもある。西遊記はいつだってロマンチックだ。以下視聴当時の感想。

アメリカン・ボーン・チャイニーズ』第一話、快作!第一話の主眼はアジア系青年のハイスクールライフ(を取り巻く困難)に向けられていて、『エブエブ』の二人はまだ物語の後ろに見え隠れするだけ。『ストレンジャーシングス』的なオタク少年たち、『ハートストッパー』の距離感。すでに愛くるしい。この後『シークレット・インベージョン』行こうかと思ってたけど、『アメリカン・ボーン・チャイニーズ』続行だな……

アメリカン・ボーン・チャイニーズ』第6話まで観た。「一万年前の牛魔王の恨み」をほぼまるまる30分かけてやる変則的な第4話も面白かったが(かなりの重要回)、第5話はウェイチェンがどんな姿かわからない「第四の経典」を探すパートがフワフワしているので中弛みも感じざるを得なかった。しかし第6話、ここで「短大でシェイクスピアを教えるキー・ホイ・クァン」と「観音様なので登場するたびに拝まれてるミシェル・ヨー」を投入!完璧な采配です。そして牛魔王孫悟空のあまりにホットな関係!突如現れるキレッキレの女沙悟浄!少年達はずっとパーティ荒らされてるけど頑張ってほしい。

アメリカン・ボーン・チャイニーズ』完走……あまりにも満たされる最終回だった。期待していたキー・ホイ・クァンミシェル・ヨーも百点満点。前面に出しすぎることなくまた魔法使いでもない悩み苦しむ一人の大人として。キー・ホイ・クァンとハリウッドの関係が語り直される場面では『NOPE』のスティーヴン・ユァンを思い出したり。この作品を通じて、正確にはこの作品について書かれた文章を辿っていて、「マイクロアグレッション」という言葉を知りました。"微細な攻撃"、つまりは無意識の偏見や無理解、差別心のこと。彼らは悪くないとは言えない。しかし、彼らも僕らアジア系もまとめて生きていくために、どう対話をしていくのか。シーズン2もありそうな終わり方だったので、この先ハイスクールライフがどう描かれるのか注目したい。『ハートストッパー』のシーズン2も来るしね!