純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

最高の階段。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

f:id:is_jenga:20231017191020j:image 何よりもまず忘れられないのは後半に登場する建物内での『ホットライン・マイアミ』完全再現ワンカット。ジョン・ウィックが二階に上がる(ステージに入る)階段の隅に隠れるところからゆっくりと浮き上がるカメラがやがて天井を超えた俯瞰視点に到達する。良すぎて落涙した。

 「達人」同士の対決をじっくり(そして冗長に)魅せていた前半から、後半の「神の視点」への転調、この落差にこそ一番感動した。ショットガン用焼夷弾「ドラゴンブレス」をジョン・ウィックが偶然手にするに至っては『コンスタンティン』の「聖なるショットガン」すら連想してしまった。オタクなので。伝説のアクション映画には映画史に残る「ワンカット」を観客が目撃してしまうという体験が存在するものだが、『アトミック・ブロンド』のように『ジョン・ウィック:コンセクエンス』もまたそれを成し遂げてしまったように思う。どっちの作品も「階段」の使い方があまりにも最高。

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 内容に関しては、正直シリーズは一作目がシンプルで一番好きだったのだけれど、最終作にして塗り替えられてしまった。相変わらず話運びはあってないようなものだが、ストーリーや会話よりも「異界」として現れるニューヨークやベルリン(そして日本!)の過剰なテンションの美術に圧倒され、その決まりまくった「画」の中で演舞する俳優たちを眺めているだけで満腹だった。リナ・サワヤマもドニー・イェンスコット・アドキンス(一人だけコミックから出てきたのか!?ってビジュアルで動きまくってて最高)も素晴らしかったのだが、あまりに勿体なさすぎる真田広之の使い方だけは減点ポイント。マジで何のためにコンチネンタル大阪行ったんだよ……楽しかったけど。

 あとはラストの階段!このシーンで遂にドニー・イェンが起用された理由が明かされる。いやー最終作にして最も「燃え」に忠実な展開で本当にありがとう……あの階段がロッキーとか色んな映画の記憶と呼応して泣ける。ラストのオチも(ちょっと読めたけど)終わらせるにはこれしかない!って感じで後腐れなくてよかった。(犬にビールは絶対ダメ!)後半どんどん音楽が西部劇調のものに回帰していくの熱かった。すぐゲームの話するけど「贖罪」というテーマに『RDR2』を思い出した。日本オリジナル邦題の「コンセクエンス」もいい仕事だと思う。どこか『マトリックス レザレクションズ』と呼応している。

f:id:is_jenga:20231017191302j:imageコンチネンタル大阪、親子二人ともめっちゃかわいい。リナ・サワヤマのスタント役の伊澤彩織わかるかなと思ったけど流石に判別できず。