純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

漫画

ダンジョンに食べられる。九井諒子『ダンジョン飯』

『ダンジョン飯』、とうとう読み終わってしまった。『鋼の錬金術師』や『宝石の国』に匹敵する名作といえば伝わるだろうか。そしてこの作品を読む前の自分はそんなことは全く思っていなかった。タイトルの軽さに惑わされていて、「ダンジョン」で「飯」を食…

感想が書けない。鬼頭莫宏『なるたる』

鬼頭莫宏『なるたる』を読み終わった。中学生の頃初めて『エヴァ』を観た時のような、自分が触れたことない精密で奇妙でもしかしたらとても恐ろしいもの、そんなフィクションに触れた感覚になる。展開や設定がわからないというより、この作品を受信するチャ…

言葉は風に吹き散らされて。阿部共実『潮が舞い子が舞い』

ついに、阿部共実『潮が舞い子が舞い』を読み終わった。心に突き刺さるものを見てしまった罪悪感が散りばめられたような最終巻だった。それはファミレスに置き忘れられた同級生のノートだったり銭湯あがりの「夜の私服女子」だったりするが、二人乗りの水木…

凄まじき寂寥。いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』『花の雨が降る ROCAエピソード集』

眠れないのでいしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読んだ。止まらなくなって一気読みした。もう眠れない。いしいひさいちのいつものゆるゆるギャグ四コマで進んでいく二人の女子高生の日常がどんどん飛躍し、離れ離れになり、ラストの切なさ…

えがくとつながる。黒田硫黄『ころぶところがる』

日雇いの帰りの電車で黒田硫黄の『ころぶところがる』を読みました。『茄子』以来のファンとしてはここにたやすく黒田硫黄の老境を見てしまいかねない。細野晴臣が『HOSONO HOUSE』からほぼ半世紀後に『HOCHONO HOUSE』を作ったように、この増殖し結合する黒…

読むたびに本を閉じて溜息をつく。よしながふみ『大奥』

ゆっくりと噛み締めるようにしか読めない『大奥』、17巻まで来た。時代は第二次長州征討。ここまで読んできて『大奥』は大体三部構成になっていたと思うのだが、その末尾を飾るであろう最愛の二人が徳川家茂と和宮。最後にこんなクィアな、ケアする愛が待っ…