純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

森で目覚めた。『シン・ウルトラマン』

うーん……数時間前に観たけど、すごく楽しかった一方で、やっぱり落ち込んでしまう。斎藤工山本耕史と「M八七」はほんっっっっっとに良かった。デザインワークス売り切れてたからどこかに買いに行かなきゃ。でもなぁ……とてつもなく美しい画面も沢山あった。映画館でしか味わえない感動も沢山あった。それだけにキツい場面との落差がつらくて、帰ってきて悲しさのあまり不貞寝してしまった(一応書いておくと、長澤まさみ周辺の一連のセクハラシーン)。自分が思っている以上に大切な作品だったんだな。美しいウルトラマンを撮ろう、という意識もすごく伝わるのに。

「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」というコピーと相反する描写が何度も出てくるのが本当に辛い。「対話」こそが美しく困難なものだということが瞬時に伝わる美しいシーンも数多ある。『三体II 黒暗森林』みたいなスケール感すら背景に感じる、対話と決裂と決断の映画なんだと思う。正直禍特対の面々は活躍したとは言い難いのだが、それでもメフィラス戦に一蓮托生でヘリに乗っている構図はよかった。宇宙という黒暗森林からやってきたウルトラマンが人間と出会い、その面影を静かに見守り続ける「森」が本当に美しくて……そしてそこにもう一人の「彼」がやってきてもうひとつの対話が始まる場面が本当に好きなんですよ。感動したもの。最後にもう一度「森」のショットが欲しかった。 だってそこで彼は目覚めたんでしょう?

ただ、シン・ウルトラマン、本当に見たことのない壮絶な場面を目撃してしまった掛け替えのない映像体験でもあるんですよ。黒暗森林的な宇宙が最も物語の前面に迫ってくるあの場面、あの美しい「飛行」がこんなにも乱されるのかと、もうあのシーンは泣いてしまった。あの光景は私達しか見ていないのだ。