純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

渡辺謙と爆弾のかわいさ対決。『ザ・クリエイター/創造者』

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 久々に超ストレートなSF大作が観れると思い、朝イチのグラシネIMAXで観た。話はわりとアホっぽかったりAKIRA過ぎたりはするけど、期待してたシモン・ストーレンハーグ的なSF世界の構築は余す所なく観れたので大満足。AIと共存するニューアジアの方がメカはダサくても豊かに見えるあたりに『モンスターズ』の濃密なメキシコ描写を思い出した。

 常に抑圧者であり続けるアメリカの方がメカは美しいが、同時に合理化・目的化された暴力と虚無が蔓延している。物語の冒頭から殺戮の不死鳥を堕とすという大目標が設定され、それが常に画面に映る空を支配しているのがゲーム的でありながら神話的な雰囲気を担保していた。ベタだがそれ故にSFが映える。

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 どうしても『TENET』を思い出してしまうジョン・デヴィッド・ワシントン、ハイテクに囲まれた時の「顔」の異化作用は強烈だが、いい役者なのかよくわからない。『モンスターズ』でも米軍兵士の鼻歌ワルキューレが印象的だったが、今回の作戦行動ではまさかのレディオヘッドの『Kid A』!あのシーンだけは何度も観たいと思ったし正直アレが一番アガったし一番SFしてた。

 AI渡辺謙が一番人間味が濃くて可笑しかったけど、次いで一番人間ぽい走る自爆ロボットくん(ジョン・カーペンターの『ダーク・スター』の哲学AI爆弾みたいでかわいい!)と渡辺謙が向かい合う場面のどうリアクションすればいいのかわからないホットな空気はなんだったんだろうね……『インセプション』の終盤みたいな渡辺謙……俺だけじゃないよね?あの場面。

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