純粋なのは不死ばかり

文を隠すなら森。

ベストテン

2023年の活動報告。BLとクィアの年でした。

2023年の活動報告です。 今年はBL入門の年だったように思う。よしながふみの『大奥』を読んで、角川ミュージアムの『はじめてのBL展』に行って、山岸涼子の『日出処の天子』を読んで、池袋ジュンク堂で溝口彰子さんと高島鈴さんのBL研究トークイベントを聞い…

旅を増幅する装置としての王国病院、テレビドラマ。多和田葉子『星に仄めかされて』

星に仄めかされて (講談社文庫) 作者:多和田 葉子 講談社 Amazon 多和田葉子『星に仄めかされて』を読んだ。 前作『地球にちりばめられて』はHirukoが旅をして様々な人々に出会う話だったけど、今作は言葉を失ったSusanooにみんなが会いに来る。コペンハーゲ…

氷の世界に揺蕩う。『バーナデット ママは行方不明』

もしかしたらリンクレイター監督作品で一番好きかもしれない。メンタルヘルスと家族(そして建築!)の話だと思っていたが、あの土砂降りを機に映画がどんどん未開の大地へと転がっていく。間違いなく人生で一番好きな南極映画。小学生の頃の将来の夢が南極に…

ベルリンに響き渡る破裂音。『アル中女の肖像』

ユーロスペースの「ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作」特集上映で観た。今年一番すごい映画かもしれない。ていうか酒に酔ったことがある人は全員観てくれ(たぶんもう上映は終わってるけど……)。個人的に忙しい期間でこの一本しか観れなかったことを強…

ウド・キアもウィレム・デフォーもあることを心得よ。『キングダム』I&II、『キングダム エクソダス』

ヒューマントラスト渋谷で15時間超えの『キングダム』I&IIと『キングダム エクソダス』一気見上映で鑑賞。夢と現実が混濁している可能性があります。善も悪もあることを心得よ。 今年これを超える映像体験があるのだろうか。流石に15時間を一日で観るのは体…

死と闘争のその先へ。『鎌倉殿の13人』

2022年のドラマは、この『鎌倉殿の13人』と『ベター・コール・ソウル』がぶっちぎりでナンバーワン。これはそのまま人生ベスト級の国内/海外ドラマです。最終回はリアタイして、あまりにも熱中した一年が終わってしまって呆然となってしまい感想が書けないま…

今年のいろいろなベストテン。

今年は意識的に美術館、博物館に足を運ぶようにした一年だった。夏に自動車免許の合宿で福岡に行って、その休日にたまたま観に行った北九州市立美術館、めちゃくちゃカッコいい建物だなぁと思っていたけれど、先日亡くなった磯崎新さんの設計だったんですね…

プレイすると時間が経つ。『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』

なぜ自分はこんなに『ディスコ エリジウム』にハマったのだろうと考えてみると、これが紛れもなく書かれた言葉による書かれた言葉のためのゲームだからだと思う。『ハリーポッター』全7巻を超えるテクスト量とかそういう事ではなくて、物語を進めることより…

『ベター・コール・ソウル』が終わってしまった。(ネタバレあり)

14年間の現実が終わってしまった。自分がこの物語を追っていたのは3年間ほどだけど、この時が来るのを心待ちにしていたし、やっぱり終わりを観るのは怖かった。しかしあまりにも素晴らしい幕引きに言葉もない。特にこの最終シーズンは冒頭数話でナチョの最期…